Shade教室もいよいよ最終回です。
今回は前回紹介し切れなかった「思った形が出力できなかった」場合の対処法を、実際にSLの画面をおりまぜながら紹介します。
第11回でお話したソフトは用意できましたか?
フォトショまたはGIMPなどの画像編集ソフトと、Rokuro Proです。
まずはShade10に搭載されている、スカルプ出力から見ていきます。
Shade10からスカルプ出力を行うには「ファイル」→「エクスポート」から、「Second Life Sculpted Prim...」を選択します。
このようなダイアログが出ます。
基本設定部分はほとんど触る必要はありません。
ただ、出力対象が、複数選択できるという便利さがあります。
「選択された形状」はブラウザで選択された「自由曲面」のことです。
問題はこのエクスポート設定です。
まずマップ解像度ですが、これはもう好き好きですね^ ^;
解像度を上げたものと下げたもの、確かに出力結果は若干ですが違います。
感じとしては解像度が低いほうがエッジには有効で、高いほうがやわらかいイメージのものに有効なようです。
とはいえ、絶対に当てはまるかといえばそうともいえません^ ^;
個人的には128×128で出力しています。
問題は次項、「左右反転」です。
ここにチェックを入れると、左右反転されたテクスチャが吐き出されます。
このチェックでどういう結果になるかは後述するとして、ここで「OK」を押すと、
下図のような保存先を聞いてきます。
ここで名前をつけて保存するわけですが、Logファイル(テキスト)とディレクトリ(フォルダ)が作成され、ディレクトリの中に出力されたスカルプテクスチャが格納される仕組みになっています。
複数の「自由曲面」を選択した場合は、一つのディレクトリに複数のテクスチャがまとまって格納されます。
オブジェクトによっては複数のプリムを使用する場合がよくありますので、まとめて出力できるのは大変便利な機能です。
さて、話は前後しますが、「左右反転」についてお話しましょう。
論より証拠。
ショットグラスを、チェックをはずしたもの、入れたもの両方出力してみます。
仮にglass_1とglass_2という名前をつけて出力しました。
このディレクトリの中に反転したもの、しないもののテクスがそれぞれ格納されています。
実際にSLにアップしてみるのもいいのですが、説明の都合上Rokuro Proを使って確認してみましょう。
出力された画像はBMP形式ですので、これをTARGA形式の画像ファイルに変換します。
それぞれ所持している画像編集ソフトを使って変換してください。
Rokuroを開いてFile→Loadから、先ほど保存したTARGA形式のファイルを読み込みます。
まず、左右反転したものを読み込みました。
わかりますでしょうか?正しく出力できそうに見えます。
では、左右反転してないものはどうでしょう?
本来番号が見えているべきところが透けていていますね?
裏返った状態で形を形成しているようです。
Shade10でスカルプを出力するとこういった裏返り現象が起きるのです。
私の環境ではこのショットグラスの場合、「左右反転」に入れなかった状態で裏返り現象が起きました。
しかしながら、皆さんの環境ではどのような結果が出るかわかりません。
それに、複数の「自由曲面」を出力した場合、正しいもの・裏返ったものが混在して出力されるのです。
全てSLにアップして確認することも出来ますが、L$の支払いが発生しますよね?
あまりにもったいないので、この画像編集ソフトとRokuro Proを使った確認方法をお勧めします。
蛇足ですが、こんな話があります。
昨年末、Mothgirlという人がFlying Fizzという競技用ヨットをSL内で発売しました。
今では大変人気の高いヨットになっていますが、このヨット、スカルププリムが多用されています。
開発秘話として、スカルプをアップするのに1000L$以上費やしたとのこと。
最初はあまりにオーバーな話に驚くばかりでしたが、実際にShadeで作ったスカルプをアップするようになって納得^ ^;
私自身、ランプを作成・販売していますが、かなり近い金額をつぎ込みました^ ^;
さて、話を元に戻しましょう。
このショットグラス、私の環境では左右反転にチェックを入れたほうが良いようです。
これをSLにアップしてみました。
色の設定をグレイに、透明度を50に設定しました。
このような形でSLにアップすることが出来ます。
では、ボートの場合はどうなるでしょう?
これも先ほど説明したように「左右反転」にチェックを入れたもの、入れないもの両方出力します。
出力結果上、まず「左右反転」にチェックをいれたものです。
裏返った形で出力されました。これは使い物になりませんね。
では、チェックを入れないほうはどうでしょう?
裏返り現象は起こっていませんが、なんかひれのようなものが見えます。
よく見るとへさきの部分に溝が出来ています。
これも使い物になりません。
さあ、困りました。これではSLにアップできません。
こういった結果が出た場合はあきらめるほかないのでしょうか。
いえいえ、対応策があります。
再度画像編集ソフトでこのテクスを開いてください。
今度は画像を時計回りに90度回転させます。
SLへのアップも考えて、BMP(SLアップデート用)とTARGAファイル(Rokuro確認用)を出力しておきます。
画像の回転が終わったらRokuroで再度確認してみましょう。
ひれのようなものがなくなりました。
溝もふさがってますね。
このようにShadeから出力されたスカルプテクスチャは、画像を時計回りに90度回転させてはじめて利用できるものもあります。
では、実際にSLにアップしたPRIMを見て見ましょう。
エッジ部分で弱さやゆがみは感じるもののなんとか形にはなっています。
このように、Shadeから出力されるスカルプは回転加工して始めて使い物になるものが多いのです。
SLにアップしながら確認する方法もありますが、まずはデスクトップ上でRokuroなどを使って確認する方法がよりよい方法といえるでしょう。
では、パイプも同じように出力してみます。
出力結果は必ずしも私の環境と同じになるとは限りませんので、ご自分の環境で確認してみてください。
私の環境では反転をかけたほうが裏返り現象がなく出力できました。
しかし、U字の部分がふさがってしまっています。
画像を時計回りに90度回転させて再保存をかけ、読み込ませて見ます。
いかがでしょう?パイプらしくなりましたね?
SLへのアップ画像は省略させていただきます。
さて、12回にわたって書いてきました「Shade教室」、いかがでしたでしょうか?
Shadeでのシェイプの作り方は、あとはもう慣れだけです。
皆さんのイマジネーションを膨らませて、色々なものにチャレンジしてみてください。
「教室」としては今回で終わりますが、Shadeからのスカルプ出力にはまだまださまざまな方法があるようです。
この教室の執筆時点でも、出力されたスカルプの確認に、フリーのソフトが存在することもわかりました。
(ここで紹介していないのは、操作に問題を感じたからです。)
こういった情報は今後も「Shade スカルプ出力TIP集」として紹介していきたいと思います。
また、皆さんからの制作上の質問にもお答えしていく予定でいます。
最後に私事ですが、フルスカルプで作成したランプを紹介させていただきます^ ^;
onとoffの単純機能のランプですが、シェイプは全てスカルプを使用しています。
このランプは現在、FarEast Yacht CubのセンターハウスとAnchors CoveのAnchors Awayにてベンダー販売しています。
Shadeのスカルプでもこういったものが作成可能です。
是非参考にしてください。